弁護士と司法書士のどっちに任意整理の相談すれば良い?

2023年10月1日

弁護士にするか司法書士にするか

「どこ任意整理をお願いすればいいの?」と聞かれれば、殆どの方は弁護士と答えるでしょう。正解です。が、100点満点ではありません。50点です。

弁護士か認定司法書士と答えれば100点です。この弁護士と認定司法書士ってどう違うのでしょうか?

弁護士と認定司法書士の違いとは

弁護士と認定司法書士、いずれも難関国家試験を受けて合格を勝ち取り資格を持っている法律家です。ただし、違う資格なんですね。

弁護士は、文系国家試験最難関といわれる、合格率3%程度の司法試験合格を経て、1年の司法修習後に弁護士資格を取得できます。かたや認定司法書士は、司法試験と同程度の合格率の司法書士試験を突破し、司法書士資格を持つ者のうち、別個に考査を経て認定司法書士になれます。

ご覧のように、難関国家試験を突破してくる法律家ではあるのですが、それぞれ法律によって職務範囲は決められているのですね。

弁護士は、法律・代理業務全般で特に制限は設けられていません。認定司法書士は、不動産や会社の登記手続に関する代理が中心であり、認定資格も、それに民事訴訟に関する権限が付与されます。

職務権限的には、認定司法書士ができる職務は、(得手不得手は別にして)すべて弁護士はできますし、逆に、弁護士ができる職務は、認定司法書士ではできないものもあります。ココ、大事なポイントです。

債務整理でも権限の差は出る

この職務権限の差は、債務整理の場面にも出てきます。

弁護士の場合

弁護士はすべての代理権限(交渉代理権・訴訟代理権)があると考えてください。
すべての債務整理について、代理人として弁護士に任せればよろしいということです。和解契約も弁護士が代理人として締結してくれますし、訴訟になれば手続すべて任せられます。

弁護士は、債務整理について、すべての職務権限があるということです。だから、どんな債務整理でも弁護士事務所では全編において依頼可能。

認定司法書士の場合

他方、認定司法書士は、この点、いろいろ問題が出てくる場合があります。
交渉代理権・訴訟代理権に制限があります。いち債権者につき、140万円を境に、それ以上になると、認定司法書士には交渉代理権・訴訟代理権がなくなります。

これは弊害が出てくるというか、弁護士に依頼した場合のようにはいかなくなる場合が時としてあります。具体的にどうこうとは言えませんが、債務状況によっては(例えば、個人再生や自己破産)、代理人として債務整理をすることができなくなるし、債務者本人にも動いてもらわなければならないようなことがあるかもしれません。

だったら、最初っから弁護士に依頼した方が良かったなんてことがあり得るわけです。

その上で認定司法書士に依頼するメリットは

ただ、弁護士に依頼するよりも認定司法書士に依頼する方が、費用的には安く済むようです。その点は大きなメリットといえるでしょう。ですから、認定司法書士に依頼した方が、コスト的には経済的といえます。

コスト云々よりも、とにかく面倒くさいことは一切ヤダ、最初っから最後まですべてお任せしたいというのであれば、弁護士優先で良いと思いますし、それほど借金は膨大ではなく(いち債権者からの借金が何百万円もない場合)、コスト重視というのであれば、認定司法書士に債務整理を依頼してもいいかもしれません。

任意整理により債務整理を検討している債務者にとって大事なことは、何はともあれ、自分の債務額を把握しておくこと。その境が140万円です。140万円以下の借金なら、まずは認定司法書士に相談する方向で考えれば経済的です。140万円以上の借金が発覚すれば、弁護士を第一に考えればと思います。